近年、社会問題とされている「孤独死」というものがあります。
孤独死とは、主に一人暮らしの人が誰にも気付かれることのないまま、住居内などで生活の突発的な病気や事故によって死亡してしまうことを指します。
自分がオーナーの物件で、その孤独死が起きてしまった場合「事故物件」になってしまうことがあります。事故物件になってしまうことは、マンション経営などをしていく上で、できる限り避けたいですよね。
また、孤独死の発見が遅れてしまうとその部屋の損害が大きくなり、近隣の住人に対しても悪影響を与えてしまう可能性が上がります。遺品整理や部屋の特殊清掃など、次の入居者が住むことができるところまでの原状回復費用をその物件のオーナーが負担することも少なくありません。
当記事では、その被害を最小限に抑えるために入っておくと良いとされる、「孤独死対策保険の重要性」について解説していきたいと思います。
目次
1. 近年一人暮らしが増加し、孤独死も増加傾向にある
近年、高齢者の一人暮らし人口が増加しています。その人口を30年前と比較すると、男性が約19万人から現在は139万人、女性が約69万人から現在約341万人に増えています。現在の割合としては、男性が約10人に1人、女性が約5人に1人とかなり高い水準になっています。
孤独死の大半が、突然の心臓発作や心筋梗塞、脳出血や室内での転倒で外傷を負ってしまうなどいずれも高齢者に起こりやすい死亡要因です。そのため、高齢者社会になっている日本では、高齢者の一人暮らし人口が増えるにつれ、孤独死も増加傾向にあります。
2. 身寄りのない人の孤独死の後片付けが問題になってきている
身寄りのない人は、亡くなった後に遺体の引き取りや遺品の整理などをしてくれる人がいない場合があります。そこで問題視されているのが孤立死の後片付けです。
最近では終活という言葉をよく耳にするようになり、死ぬ前の準備をしっかり整える人が増えてきています。そういった人は、生前整理といって、事前に業者と契約を結んでおく人がいます。
生前整理をしないまま、孤独死をしてしまった場合に起きる問題があります。例えば、家賃の未納がある場合には家賃の清算をしてもらう必要がありますが、身寄りのない人だとその未納分を回収できるかは難しくなります。
また部屋の家具などの処分や発見が遅れたことで、腐敗した箇所などの原状回復や清掃のための費用など、孤独死の後片付けが問題になっています。
3. 大家を救う!孤独死保険ってどんなもの?
孤独死が起きてしまった場合に、大家への負担を減らすための孤独死保険というものが存在します。
孤独死保険とは?
孤独死保険とは、住居内で孤独死が発生した時に、部屋の汚れや異臭の除去などを原状回復するための費用や残った家具などの処理をする費用を補償する保険です。マンションやアパート経営をしている大家に向けた孤独死対策になります。
孤独死になった場合の大家にのしかかる問題とは?
実際に孤独死が起きてしまった場合の大家にのしかかる問題として主に挙げられるのが、部屋の汚れや異臭の除去などを原状回復させること、近隣の部屋への影響や評判などによる空室のリスクの2つになります。
不動産投資を考えている人は、このようなリスクが存在していることを認識したうえで、孤独死保険に加入するなどの対策を事前にしていきましょう。
孤独死保険はどんな保証をして貰えるのか?
実際に孤独死保険に加入した場合にどんな補償をしてもらえるのでしょうか。主な補償内容として3つが挙げられます。まず1つ目に部屋の汚れや異臭の処理などの原状回復のための費用、2つ目に家具などの残置物処理費用、3つ目に孤独死から時間が経っていた場合に発生してしまった家賃の保証が挙げられます。
4. 孤独死にかかる後始末の費用はいくらかかるのか?
上記に挙げた3つの補償についてそれぞれどのぐらいの費用がかかるのかを紹介していきます。
先ずは原状回復にかかる費用の平均損害額は、約338,375円とされています。最大で3,413,744円、最小で 14,040円の費用がかかったケースが存在するようです。
一方、孤独死保険の補償金額の平均支払保険金は約256,496円とされていて約75%の金額を補償してくれる計算になります。
また最大で3,000,000円、最小で2,984円の補償を受けることができます。
次に残置物処理費用にかかる費用の平均損害額は、約196,436円とされています。最大で1,463,400円、最小で2,984円の費用がかかります。
補償金額の平均支払保険金は約185,389円となっていて約77%の補償を受けることができます。最大で500,000円、最小で2,984円の補償を受けられます。
最後に家賃保証費用の平均支払保険金は、約316,760円となります。
5. 孤独死保険を比較!
孤独死保険を取り扱っている保険会社の小額短期保険と損害保険会社の2つを紹介していきます。
少額短期保険とは?
少額短期保険とは、保険業法上の保険業のうち少額、短期(1年などの短い期間)の保険の引受けのみを行う事業のことを指します。少額短期保険は「ミニ保険」とも呼ばれているそうです。
短期間でこまめに保険を見直すことができ、また更新することもできます。小額で期間も短いので比較的気軽に取り入れることのできる保険と言えます。
損害保険会社とは?
損害保険会社とは、損保と呼ばれる損害保険を取り扱っている会社のことを意味します。
損害保険は、家の火災などの自然災害や自動車事故などの偶然の事故に生じる損害を補償するするのが主な目的です。
もともと孤独死保険は少額短期保険会社が販売し始めた保険であり、その動きを見て損保でも孤独死に関わる保険の販売を開始しました。
ほとんどの場合が大家になる時に加入する火災保険と一緒に加入するケースが多く、一般的に孤独死保険という呼び方ではなく、家主費用など会社によって名称は様々あるようです。
孤独死保険はどうやって選ぶといいのか?
孤独死保険はどうやって選べばよいのでしょうか。各保険会社の特徴を調べると明らかですが、単純に孤独死対策の保険に加入していれば安心ということではなく、内容をしっかり把握したうえで選ぶ必要があります。
個人でアパート・マンション経営をしている人は、保険料の負担が少額である、少額短期保険会社の販売している孤独死対策保険を選ぶと良いでしょう。
またいくつかの物件を所有することで、資産運用をしている人であれば、損害保険会社の多方面に損害をカバーしてくれる保険を選ぶと良いでしょう。
多方面に対応できる保険であるからこそ保険の内容が複雑になるため、損害が起きた時にどのぐらい保険金が降りるのかを理解しておく必要があります。そのうえで加入する保険を選ぶようにしましょう。
6. 孤独死は事故物件になるのか?
何かしらの原因で、前居住者が死亡した場合に事故物件と呼ばれるようになりますが、厳密な規定がないために事故物件と呼ぶときと呼ばないときがあります。
一般的には、自殺や事件などで人が亡くなってしまった物件を事故物件と呼ぶイメージがありますよね。
しかし孤独死の全てが事故物件として扱われるということではありません。
事故物件のことを心理的瑕疵ありと表現することがあります。自殺・殺害事件などが起こった場合も含め、暴力団関係者が住んでいたり、その事務所がある場合や心霊現象が起きるなど、人が心理的負担を感じる要因がある物件を心理的瑕疵ありと表現するようになりました。
不動産会社には、事故物件や心理的瑕疵ありの物件を告知する義務があります。ただ、孤独死の場合においては、敢えて事故物件にしていない会社も中には存在します。管理会社や大家がその孤独死を心理的瑕疵のない自然死と判断すれば、事故物件としては扱われません。心理的負担とは人によって様々でその解釈があいまいなため、一概にこうというのは断言できません。
7. 孤独死が発生すると後始末には高額な費用が。保険に加入して対策をしておこう!
自分の所有している物件で孤独死が発生してしまった場合に伴うリスクはいくつかあることが理解できたかと思います。その中でもやはり気になるのが後始末にかかってくる費用が高額である点ですよね。
そんなとき、保険に加入していることで負担額を大きく削ることができるのは、マンション経営をしていくうえでの安心材料になります。
不動産投資は、リスクを事前に抑えることができる投資ですので、しっかり事前に保険に加入することで対策をしましょう。
不動産投資で入っておいた方がいいその他の保険についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
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