近年では、タワーマンションの建設が増々盛んになってきており非常によく見かけるようになりました。
そこで是非ともタワーマンションに住もうと考えている人に知っておいていただきたい内容が、火災についてです。
火災は、予想していないところに突然やって来るものです。
日頃から防災に備えることやマンションについての正しい知識を付けることがとても重要です。
タワーマンションの火災と言えば、ロンドンのビルが火柱になった事件も記憶に新しいところです。
日本のタワーマンションは、火災になった際には大丈夫なのか、万が一火災になった場合には避難経路は何を使用して避難する必要があるのかなどルールがある程度明確に決まっているのです。
また火災を起こしてしまった場合の対処方法や火災保険についてもこの記事で解説していきます。
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目次
1. タワーマンションで火災が発生した場合について
1-1. 日本では11階以上の階にはスプリンクラーの設置が原則義務付けされている
まず法律上日本では、高層マンションにはスプリンクラーの設置が義務づけられています。これは11階以上ならばほぼすべてのマンションで設置されています。
日本の建築物に関しては、火災対策は、建築基準法に加えて消防法でしっかりと決められてます。
建築基準法では、防火材料の指定に加えて構造も厳密に決められています。消防法ではスプリンクラーや火災報知器設備の設置が義務付けられています。
消防車のはしごの限界が11階まで
ではなぜ、11階以上なのでしょうか?
これは、消火時のはしご車の届く限界の高さが11階までなのです。
火災時には、高層マンションでは電気や水道などのインフラに加えエレベーターも停止する可能性があるため、非常用エレベーターが無い場合は基本的にはしご車での消化が基本となり、11階以上の場合では、消火が非常に困難になるのです。
しかし、このスプリンクラー設置に関しては例外も存在します。
- 住戸内の延焼を防止できる構造つまり、万が一発火した際に燃える範囲を限定的にすること
- 共用廊下が外気に面していることいわゆる外廊下の場合で、バルコニーに非常ハッチが存在して2方向の避難経路が確保されていると
いう条件の場合のみスプリンクラーの設置が免除されます。
また延べ面積が500㎡以上の場合は、火災報知器の設置が必要になります。
1-2. 日本のマンションで火災が起きても被害は限定的になる可能性が高い
高層マンションでは、火災報知器にスプリンクラーの設置に加えて延焼を防ぐ構造で建物が設計されています。
そのため、万が一火災が起ったとしても火災の被害は限定的になるケースが多いのです。
実際に消防庁のデータを参照するとここ数年の火災の出火件数は約500件ですが、損傷面積を見てみると5㎡程度に収まっています。このことからもあまり大規模火災になるケースになりにくいと言えるでしょう。
高層マンションの場合は、設計段階で防災に関しては、徹底してチェックが入るためもし欠陥があった場合は建設自体が中止になります。
また、内部に使用するカーテンや壁紙も難燃素材を使用しているので、火災が起こった際にすぐに燃え上がるということもありません。
また建築基準法には、建物の延焼を一定範囲で防ぐ為にも防火区画の設置が義務付けられているため、マンションが火災になったとしても一定の範囲で食い止めることが出来るのです。
1-3. 火災が起きたらまず消化を試みて、ダメな場合は玄関を閉めて逃げよう
火災対策を何重にもかけているので、心配する必要が無いかといえばそうでもありません。
どんなに用心や対策をしたとしても災害は予測がつかないものです。そのため日頃の住民の防災に対する行動が肝心になってきます。
11階以上(31m)のタワーマンションには、非常用エレベーターの設置が義務付けられています。
これは、先述の通りはしご車の高さには限界があるため、消火を行う消防士が使うためのエレベーターです。
このエレベーターを避難のために使用してしまうと消火活動が迅速に行えずに最悪の場合は延焼がさらに広がる結果になることもあるのです。
だからこそ火災時には階段を利用する必要があることを覚えておきましょう。
また、実際に火災が起った際には、まず消火活動を試みて、火の手が強く消火活動が物理的に不可能になった場合は煙や延焼を防ぐために扉や窓を閉めた上で階段から避難を開始してください。
これは、マンションは燃えにくい構造になっていますが、防火区画でも炎や煙は完全に防ぐことはできないため被害を最小限限度に抑えるためにも窓と扉は閉めたうえで非難することが望ましいです。
2. タワーマンションの火災時に安全に避難するためのポイントを知っておこう
2-1. 避難階段の位置を知っておこう
主に11階以上のタワーマンションには、非常用エレベーターと通常のエレベータの2種類が設置されていることが多いです。しかし、このエレベーターは、火災時に使用することが難しい場合があります。
まず非常用エレベーターは、はしご車の関係上消防士が下から上がるために使用するため、住民の方は極力使用を控えることにより結果的には迅速な消化活動に繋がります。
また、通常のエレベーターも高層マンションの場合は、避難時に人が殺到し乗れない可能性や、
あまりありませんが、火災時の停電によりエレベーターに乗車中に停止することも考えられます。
これらのリスクを踏まえるとやはり、避難時には階段を使用することが一番速く避難できます。
迅速な避難をするためにも階段の位置を確認することは必須となってきます。
階段を積極的に使用するために通常階段ともう一つ非常用階段がタワーマンションには設置されています。
この階段は下から煙が入らないように隔離する構造になっています。避難前に確認しておきましょう。
2-2. 避難ハッチや避難はしごの位置を知っておこう
非常階段よりも近くにある避難経路の一つとして、避難ハッチがあります。
こちらは主にその階の両端の住戸に設置されています。そのため非常時は、ベランダから壁を破りハッチまで逃げます。
迅速に逃げれるためにも避難ハッチの前に荷物をおかないようにしましょう。
実際に避難ハッチが住戸内にある人は、災害時に備えていつでも開けられるように準備しておく間違いがありません。
2-3. 非常用エレベーターは原則使えないと知っておこう
先述の通り非常エレベーターがタワーマンションには、設置されていることがおおいです。しかし、このエレベーターは使えません。
こちらは消火するためにしたから消防士が上がるために使用するので、住民の避難につかってしまうと消化活動が遅れることがあります。
そうなった場合は、防火区画があるとはいえ被害の拡大は防げません。だからこそ非常用エレベーターは使えないのです。
例外として、高齢者の方は非常時でも使用が認められていますが原則は使用できないと考えていたほうがよいでしょう。
2-4. 実際に避難設備を使った訓練をしておこう
非常階段や消火設備の位置を確認したからもう安心できるあとは災害時に実際に逃げるだけと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、いざ災害となった場合は中々思うように動けないことも良くあります。
パニックになってエレベーターが混み合うことなどは良くある話です。その様にならないためにも実際の設備を使用して訓練をしていることをオススメします。
マンションの場合は年1回ほどマンション合同の防災訓練を行っているところも多いので参加することにより火災時に慌てることなく迅速な避難が出来るはずです。
災害時は周りの方との助け合いも重要な要素になるため、日頃の訓練から助け会う事を意識することは災害時にもきっと役に立つでしょう。
2-5. 防火区画の不具合点検や場所を把握しておこう
火災時に最も役に立つものが防火区画です。この防火区画は、火災の延焼を防ぐことを前提に作られています。
そのため、この防火区画に不具合がある場合は、火災がとなりの住戸だけでなくその周りにも延焼します。
どれだけ防災訓練や避難経路の確認をしたとしてもこの防火区画が機能しない場合は火の回りが早いので、不具合が無いように他人事と思わずに一度確認してみることをおすすめします。
3. タワーマンションの火災の原因には何があるのか?
3-1. タバコによる不始末で火災が起きる
最も多い火災原因は、たばこの不始末によるものです。
寝たばこや火のついたままのタバコを放置してしいその結果火災が発生しまうケースがあります。
火災に素早く気づくことが出来た場合は、消火を試みるといいでしょう。初動段階の場合は、容易に消すことが出来ます。
しかし、消火不可能と思える程度に火の回りが早い場合には、自身で無理に消化活動を行わず、窓と扉を閉めて一早く避難することが重要です。
たばこの不始末で火災になった場合には、軽い場合は「失火罪」として罰金50万円、重い場合には「重火罪」として禁固3年または罰金150万円の罪に問われることがあります。
3-2. 電波ケーブルが焼けた事により起きた火災
次に多い火災が電波・電源ケーブルの火災です。
たこ足配線がきっかけになり火災になるケースが多いです。
具体的には、電源ケーブルをタコ足配線として長期間配線したままにして放置しておくとコンセント上にほこりがたまり、そのほこりに引火して火災が起こるケースがあります。
そのため、火災を起こさないためにもまずはタコ足配線をしないことやほこりを定期的に掃除することなどが火災を予防する一番の近道になります。
4. まさかに備えてタワーマンションの火災保険に加入しておこう
タワーマンションは、戸建て住宅と異なり火災の被害が隣の住戸まで映るリスクが非常に多いです。
どれだけ防火設備や設計をしていても火災はおこりますし、延焼を完全に防ぎきるのも非常に難しいです。
そして他の住戸に飛び火した場合は、避けられないものとして賠償責任が発生してきます。
そのため保険に入ることは肝心なのですが、保険にもそれぞれ特徴があるためご紹介します。
4-1. 火災保険の大事な保障内容について
火災保険には、
- 個人用
- 借家人用
- 管理者用
の3種類が存在します。これらの保険はそれぞれ補償内容がことなるため、自分の立場や補償内容によって入る保険は選ぶ必要があります。それぞれの補償内容は以下の通りです。
個人向け保険
個人向け賠償保険は、揚げ物火災や寝たばこなどによる重火災や洗濯機からの漏水事故などでタワーマンションの他の住民から損害賠償を請求される際のリスクに対応した保険です。
賃貸用・分譲用のタワーマンションに必要な保険です。一つ入っておくと安心感が違うでしょう。
借家人向け保険
借家人向け保険は、タワーマンションを賃貸物件として借りていた際に住民の過失で火災を起こした場合にオーナーからの原状復帰費用に対して使用することが出来ます。
タワーマンションの原状復帰は、通常のマンションよりも多額の費用を請求をされることもあるため保険金額の設定には、十分に考慮する必要があります。
管理者向け保険
管理者用の保険は、タワーマンションのオーナーが部屋を賃貸に出していた場合に建物の所有管理によって発生する損害賠償に使用することのできる保険です。
収益用タワーマンションには必須な保険と言えるでしょう。
4-2. 専有部分や共用部分の火災保険について
タワーマンションの内部は、共用部であるエントランスや廊下の部分と自分自身の住戸である専有部の2つに分かれています。
この2つはそれぞれに欠けている保険が異なるのです。それは保険を掛ける対象物の違いと書ける人が異なるために違いが出てきます。それぞれの違いを解説します。
共有部に関しては、タワーマンションの管理組合が火災保険を契約することが一般的です。
通常は管理組合の理事に所属していない限り、どの保険を使用していることなどは分からないことが一般的でしょう。
しかし、自分の生活リスクにも直結することですので、一度火災保険の補償内容の確認をしてみることをお勧めします。
専有部に関しては、住居用ならばタワーマンションの住居スペース(専有部分)と家財に対して火災保険を掛けるのことが一般的でしょう。
あくまで専有部分のため、マンション購入時の金額とイコールではありませんので注意が必要です。
4-3. タワーマンションの管理規約を確認した上で保険に加入しよう
タワーマンションの購入金額には土地や共用部の金額が入っているため、この点を考慮する必要があります。所有者がマンションに火災保険を付ける際の評価額には次のようなものがあります。
- 専有部+共用部
- 専有部分(上塗り部分)
- 専有部分(壁芯基準)
マンションの共用部にもしも火災保険がついていない場合は、所有者が共用部の火災保険を支払う必要があります。
通常タワーマンションの場合は、マンションの管理組合が保険に加入することが多いため所有者が保険を支払うことはまずありません。そのため専有部のみを考える必要が出てきます。
専有部のみを考える場合でも基準が2つあり、それが上塗り基準と壁芯基準です。
上塗り部分は、壁の内側の面積を基準にする方法で、壁芯基準は壁の中の中心線を基準とする方法です。
両方を見比べた時に壁芯基準の方が計算上面積が広いので評価額も高くなります。
どちらの評価方法で計算するかはマンションの利用規約で事前に確認しまししょう。
5. タワーマンションで火災が起きた時のために避難経路の確認や保険の加入は必須
日本のタワーマンションは火災が起ることも少なければ、起こった際にマンション一棟丸ごと消失するという事態は恐らくないでしょう。
ご紹介してきたように日本は災害大国のため、耐震や火災などの災害対策は万全とも言えるぐらいに行われています。
具体的に日本の建築設計は何重にも耐震、耐火設計が施されており、建築基準法や消防法には避難経路の確保や非常エレベーターの設置にスプリンクラーの設置などもあり、延焼が広がらないように防火区画も設定されています。
しかし、どれだけ防災設備や設計をおこなっても予想していない時に起こるのが災害と言うものです。
災害が起こってから対策したのでは、大切なものも全て焼けてしまうかもしれません。
そうならないためにもタワーマンションの特徴と災害時の避難経路の確認、保険の加入は万が一のためにも必須と言えるでしょう。
火災保険については以下の記事も参考にしてみてくださいね。
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