不動産投資を始めたら、何かとトラブルはつきものです。
そのうちの1つが、「家賃滞納」です。
家賃を滞納されてしまうと、不動産購入時に組んだローンが支払えないので、さらに多くの借金を背負うことになりかねません。
今回は、家賃を滞納されてしまった時の対処法や、滞納されないための防止策についてまとめました。
既に不動産を持っている人や、これから検討している人は是非ご一読ください。
家賃を滞納された場合の対処法
家賃を滞納されたら、具体的にどのように対処したらいいでしょうか。
ここでは、順を追ってご説明します。
①入居者に家賃が支払われていないことを伝える
家賃が支払われていないことに気づいたら、まずは入居者に家賃が支払われていない旨を伝えなくてはいけません。
一般的に口頭・電話・手紙のいずれかの方法で入居者に伝えます。
ただし、いずれの方法で伝えるにしても、後々のトラブルを避けるために、ボイスレコーダーなどで証拠を残しておきましょう。
連帯保証人に督促状を送る
上記の方法で入居者に伝えても、何も変わらず支払いがされない場合があります。
そんな時は、契約書に書いている連帯保証人に、家賃の支払い請求をします。
家賃滞納が1ヶ月を越えた時は弁護士に相談する
入居者や連帯保証人に伝えても支払いがされない場合は、交渉から1ヶ月を目途に第3者である弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。
- 法律に関する内容も適切にアドバイス・解決まで導いてくれる
- 入居者や連帯保証人が面倒な人でも、代わりに交渉してもらえる
- 万が一裁判になったとしても、書類作成から全て行ってくれる
- 早期解決し、家賃回収できる確率が高くなる
デメリットとして弁護士費用はかかってきます。最近では着手金無料の法律事務所もありますが、報酬も含めると数十万円かかる場合がほとんどです。
一見高いようにみえますが、上記のメリットを考えれば、それ以上のメリットが大きいので1度相談してみることをオススメします。
②契約解除の予告通知書を内容証明郵便で送る
入居者や連帯保証人に交渉する際に証拠を残す方法として、「内容証明郵便」があります。
内容証明郵便とは
内容証明郵便は、誰から誰にどんな内容の文章をいつ送ったのかを証明してくれる郵便のことです。
差し出すには、郵便局で以下のものを準備します。
(1)内容文書(受取人へ送付するもの)
(2)(1)の謄本2通(差出人及び郵便局が各1通ずつ保存するもの)
(3)差出人及び受取人の住所氏名を記載した封筒
(4)内容証明の加算料金を含む郵便料金
念のため、差出人の印鑑をお持ちいただくことをお勧めいたします。出典:郵便局
郵送料は、書留料と内容証明料が追加でかかるので高めですが、e内容証明を使って料金を抑えることも出来ます。
③契約を解除する
家賃の滞納が一定期間続いていたら、今度は契約解除に踏み切らなくてはいけません。
ただし、この「一定期間」に明確な基準は無く、「入居者との信頼関係が壊れたと判断できるだけの期間」と考えます。
目安としては、3ヵ月~半年間です。それ以下ですと、契約解除は困難になってきます。
支払われた場合にも確約書を
万が一、滞納分が支払われた場合でも、支払われない場合でも、入居者と「確約書」を交わすようにしましょう。
確約書は、当事者の双方が合意して署名捺印する契約書と違い、一方が確約し、署名する書面のことをいいます。
確約書の書き方の例は、以下のとおりです。
平成○○年○○月○○日
念 書
○○県○○市○○町○丁目○番○号
○○ ○○ 殿
○○県○○市○○町○丁目○番○号
○○ ○○
私は下記建物について下記のとおりの条件で貴殿と賃貸借契約を締結していますが、私は平成○○年○○月分から平成○○年○○月分までの家賃合計○○万円の支払いを滞納していることをここに認めます。
この滞納家賃は、○○回に分割し、平成○○年○○月分から、毎月支払う家賃に上乗せしてお支払いしていくことをお約束いたします。
今後は、家賃支払いを滞納することは絶対にいたしません。もし、お支払いが1カ月でも滞納した場合には、賃貸借契約を解除されても異議を述べません。
記
1 賃貸物件
2 家賃
3 家賃支払期日
以上
確約書には法的効力がないものの、いざ裁判になった時に有力な証拠になるので、作成しておきましょう。
④明け渡し請求訴訟を起こす
上記のいずれの方法も効果が無く、家賃が支払われない場合には、いよいよ裁判になります。
そのうちの1つが「明け渡し訴訟請求」です。
明け渡し訴訟請求は、別名立ち退き請求といい、裁判をすることで入居者を強制退去させることができる訴訟のことをいいます。
家賃滞納の時効は5年
家賃を滞納されたからといって、いつでも強制退去できるわけではありません。
民法169条の定期給付債権では、以下のとおりに定められています。
支払期限から5年以上経過した家賃は請求できないので注意しましょう。
裁判までの流れ
裁判までの流れは、以下のとおりになります。
⑤強制執行による立ち退き
裁判で勝訴判決が出ると、いよいよ強制執行による立ち退きを行います。
流れとしては、執行官が契約している業者(執行補助者)が部屋の中にある遺留品をすべて撤去して、強制的に明渡しをすることになります。
この際の遺留品は、いったん指定の倉庫に保管され、入居者が取りに来た際に渡すことになります。
費用は誰が負担する?
強制執行でかかった実費は、弁護士費用を含めて全て不動産所有者になります。
負担は大きいですが、これら全てをプロに任せられるというメリットは大きいでしょう。
要注意! 家賃滞納された時のやってはいけない対処法
家賃を滞納されたからといって、何でもしていいわけではありません。
間違った交渉を行うと、違法行為となり逆にこちらが問題指摘され、家賃回収どころでは無くなってしまうので注意しましょう。
具体的に、やってはいけない対処法は、以下のとおりです。
①保証人以外の第三者に督促を行う・知らせる
個人情報を当事者以外に教えてしまった場合、個人情報保護法に違反します。
②勝手に鍵を替える
許可なく勝手に鍵を取り替えると、器物損傷罪に該当します。
③荷物を勝手に処分する・裁判なしの強制退去
入居者のものを勝手に処分するのは、鍵の交換同様に、器物損傷罪に該当します。
④深夜や早朝の督促
深夜や早朝の督促は、「交渉の際に社会通念に照らし不適当と認められる時間帯(主に午後9時から午前8時まで)」から外れるので気をつけましょう。
家賃滞納を防ぐ対策3つ
これまで、家賃を滞納された場合の具体的な対処法をご紹介してきました。
しかし、交渉から裁判までは時間もお金もかかり負担が大きく、出来ることなら避けたいもの。
そこで、事前に家賃滞納を防ぐ方法を3つご紹介します。
①家賃保証会社・サービスを利用する
家賃保証会社とは、アパート・マンションなどの不動産を借りる時、連帯保証人の代わりになってくれる会社のことをいいます。
主に、以下の業務を行っています。
家賃債務保証
家賃債務保証とは、入居者が家賃を滞納した場合、代わりに家賃を立て替えてくれることをいいます。
業務がスムーズなので、お金の心配も最小限で済みます。
空室保証
空室保証とは、毎月一定の保証料を保証会社に支払うと、万が一物件に空室が出た際に、家賃を一定額保証してくれる制度のことをいいます。
保証額は、満室家賃の80%~90%です。
これにより、たとえ空室があったとしても、毎月最低でも家賃80%分は保証されるので、安定した不動産投資が可能になります。
サブリース
家賃保証会社とは別に、家賃保証する会社に「サブリース」があります。
サブリースは別名「一括借り上げ」といいます。
オーナーから不動産会社が一括で建物を借り上げ、入居者に転貸(借りたものをさらに貸す)する制度です。
サブリースのメリットは、以下のとおりです。
- 満室が保証されているので、ローンの審査が通りやすい
- 毎月一定の家賃収入が保証される
- 家賃滞納などの面倒な交渉も代わりに対応してくれる
②入居時の審査を徹底する
審査が緩いと、後々トラブルを引き起こすことになります。
入居者の審査を徹底することで、良質な入居者が入ってきやすくなります。
審査方法として、以下のことを気を付けると良いでしょう。
- 収入証明(源泉徴収票や月々の給料明細など)の提出を義務化する
- 連帯保証人は必須にする
- 入居前に実際に会って面談を行う
- 家賃交渉をしすぎない
- 家賃保証会社の利用を必須にする
③入居者と信頼関係を築いておく
これまでいろいろな家賃滞納防止策をお伝えしてきましたが、1番大事なのはお互いの信頼関係です。
信頼関係を築くためには、入居者と1度会って話をしてみることが大切です。
最近ではネットが発達していることもあり、オーナーと入居者が1度も会わないケースが増えています。
入居時には便利ですが、お互いをよく知らない状態だと、信頼関係は築くことができません。
部屋の修繕や掃除など、ほんのささいな場面から、積極的に話をしていきましょう。
家賃滞納を防いで円滑な不動産投資をしよう
家賃滞納されてしまったら、入居者や連帯保証人に伝える以外にも方法がいくつかあることが分かりました。
せっかく不動産を購入したなら、確実に家賃の回収はしたいもの。
そのためには、入居者ときちんと信頼関係を築くことが大切です。
家賃滞納が分かり、焦って余計トラブルが大きくなることは避けなくてはいけません。
第3者の力を借りながら、円滑な不動産投資をしましょう。
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