不動産を売却する理由を考えよう!売りたい理由でやることの優先順位は変わる
まずは、不動産を売却する理由を知りましょう。その後注意すべき「告知義務」のある物件を解説し、最後に理由によってやることの優先順位が変わる点について解説します。
目次
不動産を売却する理由7つ
「売りたい理由でやることの優先順位は変わる」という点を理解するために、そもそもどのような理由で売却する事例が多いかを理解しましょう。
①住み替え
売却する理由の1つ目としては、「住み替え」があります。要は、住まいの場所が変わることで、今の家に住めなくなるので売却するという流れです。そんな「住まいの場所に変わる」ときは、主に以下2つです。
・通勤や通学など
・今の住まいが手狭になった
注意点としては、住み替えによって不動産を売却するときは、「今よりもっといいところに」という言葉は言ってはいけません。
通勤や通学など
住む場所が変わる最も大きな理由は通勤でしょう。部署の移動や転勤などによって、働く場所が変わることは良くあります。また、子供の通学によって住まいの場所が変わることもあります。たとえば、私立に行くことで通学時間が数時間になることで住まいを変えるという状況です。
「今よりもっといいところに」は言ってはいけない
住み替えるときには、「今よりもっといいところに住みたい」と思うのは当然です。しかし、「今よりもっといいところに」という漠然という思いをもって住まいを探すと、理想が高すぎて結局住まいを選べません。だからこそ、住まいを選ぶときには優先順位を付け、何を重視して住まいを探すかを検討するべきなのです。
②相続などによる資産処分
売却する理由の2つ目は、相続などによる資産処分です。相続した物件は保有しても良いですし、賃貸などに出しても良いです。ただ、相続物件と今の住まいが遠い場合は住むことはできませんし、固定資産税やメンテナンス費用はかかります。また、賃貸にするなら投資なので管理が面倒です。そのため、相続時は売却してしまうケースが多くなります。
今の住まいが手狭になった
売却する理由の3つ目は、今住んでいる家が手狭になったというパターンです。これは、主に出産で子供が増えるという状況が多くなります。不動産を購入するときは、独身で買う場合もありますし、結婚をする場合もあります。そのような状況のときでも将来を見越して不動産を購入しますが、状況が変わることは多いです。
たとえば、「子供は1人を予定していたがやはり1人欲しい」「兄弟に大きな1部屋で良いと思っていたが、やはり独立した部屋が欲しい」「荷物が多すぎてもう1部屋欲しい」などの状況です。さすがにそこまで将来のことは分かりませんので、住まいが手狭になることは良くあります。
④投資物件として売り時
売却する理由の4つ目は、投資物件として売り時の状況です。特に、賃貸マンションは投資物件として購入することもあると思います。マンションを含め、不動産は市況によって価格が大きく異なります。そのため、基本的には賃貸収入を得る目的で不動産は保有しますが、高く売却できるなら売却してしまうこともあるでしょう。
⑤まとまった資金が必要となった
売却する理由の5つ目はまとまった資金が必要になったときです。たとえば、企業資金が必要だったり、多額の負債を抱えてしまったり、教育資金が必要になったりするときです。不動産はローン残高や市況にもよりますが、100万円単位で収益を上げられる可能性もあるので、まとまった資金が必要なとき売却することもあります。
⑥住宅ローン返済
売却する理由の6つ目は、住宅ローン返済による売却です。要は、住宅ローンの返済が厳しくなり、売却して残債を完済するということです。住宅ローン返済によって売却するケースは、以下のような状況です。
・借入額が多すぎた
・金利が上がり返済額増えた
・繰り上げ返済の計画がなくなった
借入額が多すぎた
ローンを組むときは金融機関が審査をしますが、審査に通ったからといって返済できる金額とは限りません。特に、大企業の社員や公務員は金融機関からの信用度が高いので、割と高い金額の借り入れができます。そのため、借りすぎてしまうこともあるので、返済が厳しくなり売却せざるを得ないこともあるのです。
金利が上がり返済額増えた
今のマイナス金利の状況だとあまりないと思いますが、変動金利の場合は5年に1回、そのときの金利によって返済額が見直されます。その返済額の上昇額によっては返済が厳しくなり、不動産を売却するという状況もあるでしょう。
繰り上げ返済の計画がなくなった
繰り上げ返済とは、「3年後に200万円元本を返済する」などのことです。元本を一気に返済することで、返済期間を短縮するか、返済額を減額するという選択をします。借入時に「ボーナスで○○万円返済する」など、繰り上げ返済を前提にローンを組むこともあります。
しかし、ボーナスなど予定していた収入を得られないときには、繰り上げ返済をすることができずに、減額するはずだった返済が厳しくなることがあるのです。そんなときに、不動産を売却してローンの返済資金に充てることがあります。
⑦離婚
売却する理由の7つ目は離婚時の不動産売却です。離婚時は、その不動産を慰謝料代わりにするケースもあります。たとえば、夫名義のマンションを、夫がローンなどの支払いをしつつ、妻が継続して住み続けるというようなケースです。しかし、このケースだと離婚後に面倒になります。
たとえば、妻がそのマンションを賃貸に出したり売却したりしたときも、あくまで夫が所有者なので夫が契約行為をします。また、夫がローン返済できない状態になれば、強制的に売られてしまうこともあるのです。そのようなことが起きないように、離婚時は不動産を売却してしまい、現金を慰謝料代わりにするケースが多いです。
告知義務のある売却理由3つ
さて、つづいて告知義務のある売却理由である、以下3つのパターンを理解しておきましょう。
・事件、事故があった場合
・物件に欠陥がある場合
・物件に欠陥がある場合
①事件・事故があった場合
その物件内や敷地内で事件・事故があった場合には、買主に対して告知義務があります。これは「心理的瑕疵があるかどうか?」が焦点であり、心理的瑕疵については明確な定義はありません。たとえば、大型マンションに住んでいた、距離が離れている別の棟で自殺があったとします。
「自殺」と聞くと購入者は心理的瑕疵があると思いますが、距離も離れていて棟も違う場合はどうでしょうか?このような判断は売主自身で行うと危険です。そのため、気になる点があれば不動産業者と相談して、告知するべきかどうかを判断しましょう。
②物件に欠陥がある場合
また、物件に以下のような欠陥がある場合も告知しなければいけません。
・給湯器などの設備不良
・壁や床など機能上問題のある損傷
・付属設備に不備がある
このように、不動産を引き渡した後に生活に支障がある場合は、買主には告知しなければいけません。旧動機など設備不良があれば、それは「瑕疵」になります。そのまま黙って引き渡すと、瑕疵担保責任を問われ、補修費用などを引き渡し後に請求されるケースもあります。
壁や床などに、「雨漏り」など生活するうえで支障がある場合などの同じです。さらに、エアコンなどの付属品に不備がある場合も告知しておきましょう。一般的には、エアコンや照明などは、外すかそのまま引き渡すかは引渡しまでに決めておきましょう。仮に、故障しているのであれば、それを買主が分かっている状態で引渡し必要があります。
③周辺の環境に問題がある場合
周辺環境に問題がある場合にも告知した方が良いです。これは、「環境瑕疵」ともいわれますが、環境瑕疵は心理瑕疵以上に告知するかどうかが難しいです。たとえば、近所に反社会的勢力の事務所ができたり、工場ができたりという点は、環境の瑕疵になります。
このような点を黙って引き渡すと、「知っていたのに伝えなかった」と買主からクレームが入り、最悪の場合は告知義務違反に問われることもあります。このようなことにならないよう、心理的瑕疵と同様、不動産業者に良く相談しましょう。
売りたい理由でやることの優先順位は変わる
このように、不動産を売却するケースはたくさんあります。それぞれのケースで「やること」の優先順位が変わってくるので、まずは売却理由を整理しましょう。たとえば、「住み替え」かつ「買い替え」の場合には、今住んでいる家を先に売るか、新しい家を先に買うかで売却の流れは大きく変わります。また、それぞれにメリット・デメリットがあるので、その点を理解して判断しなければいけません。
また、相続で不動産を売却する場合には、その旨で遺産相続協議書を作成する必要があります。さらに、離婚時も同様で離婚協議書の内容も、売却前提で作成するという流れです。ほかにも、転勤時は「スピード勝負」の売却になるでしょう。このように、売却理由によって「やりたいこと」の優先順位が変わるのです。
スムーズな売却のためには理由を考えよう
不動産の売却をするときは、その理由を明確にしましょう。